本人と絵の世界観がギャップありすぎ!画家・新宅和音さん

まず、このものすごく可愛らしい女性を見てください。彼女は画家の新宅和音さんです。

この風貌にして、なんと30歳!サギってませんよ。(2017年8月現在)
始めて出会ったとき、なんてロリ……!と、驚きを隠せませんでした。

 

そんな彼女が描くのが、血を流したりニキビがあったり、少々特徴的な少女の絵です。

どう見ても普通じゃない感じの絵の謎に、少しでも迫ってみたいと思います。

少女の顔は「しっくりくる」まで描く!

持参した桃丸ごとケーキを美味しそうに頬張る新宅さんに、質問スタートです!

 

新宅さんの絵の少女はとっても印象的ですが、これはご自身がモデルなんですか?

描いている絵の女の子に、モデルはいません。始めは、どんな女の子か自分でもわからないくらいです。

自分の中でしっくりくる顔になるまで描く感じですね。だから“顔の基準”やイメージというのは、説明できません。

 

街を歩いていて、あ、この顔しっくりくる!とかあるんですか?

ありますよ!高校の時、しっくりくる顔の子に会ったことがあります。外を歩いていても、たまに「あ!」ということも。

つい最近まで続いた「陰タイプの思春期」

なぜ描きたくなるのは“少女”なんでしょうか?

私、23歳くらいまで“自分は15歳くらいの自己認識”だったんです。実際は大人なのに、気持ちは思春期真っただ中。

思春期って「陰タイプ」と「陽タイプ」で分かれるじゃないですか?

陰と陽?

内にこもって悶々とする・自分に毒づく「陰タイプ」と、親や先生など外にむかって反抗する「陽タイプ」っていうか。
私は詩とか絵とか妄想とか、内側に内側にこもってモヤモヤするタイプだったんです。

じゃあ「陽タイプ」っていうのはアレですね!筆者の夫みたいに、ちょいちょい学校の先生に呼ばれたりしたタイプですかね?

 

そうそう、そんな感じ!

ちなみに中学校の3年間、本当の思春期だったころ、両親の仕事でオーストラリアのパースに住んでいたんです。

パースは世界一住みたい都市なんて言われるくらい、天気も良くて街もキレイ。だからこそ、陰タイプの私は「嫌だなー」って思ってたこともありました。

私の心はこんなに暗いのに、晴れやがって!みたいな?

そうそう。今はイイお天気、すごく好きですけどね。

 

“陰タイプの少女だった自分”を絵に投影しているんですか?

自分を描いているんではないですけど、少女の絵だと入り込めるんですね。「自分に似ているものを描きたい」「自分に興味がある」っていう感じです。

やっと、自分がもう少女じゃないと認識できるようになってきたのが今の段階で。まだ客観視するまでには至っていないんですけどね。

 

だから、これから絵がどう変化するかはわからないです。自分が年をとったら、もしかしたら絵の少女が大人になるのかもしれませんね。

大学の時、「絵はジグザグに進むもの」と言っていた先生がいました。陰になったり陽になったりしながら、進んで変わっていくのかな?と思います。

新宅さんが描く絵のテーマとは?

絵のモチーフやテーマなどは最初から決まっているんでしょうか?

描きながら絵が決まることが多いですね。タイトルも最後に決めています。それぞれの絵には、自分の中で漫画みたいにストーリーがあるんです。

 

1枚の絵にかかる制作期間も、2ヵ月とか5日とか、本当にバラバラ。

現在の新宅さんの絵は、なんというジャンルになるのでしょうか?

今私が描いてる絵って、自分ではジャンルがよくわからないんです。テーマとか、自分の絵をどう説明すればいいのかわかりません。

弟にも、一般受けする絵じゃないしブランディングしづらいとか言われて。

 

とある雑誌では「生きにくさからの表現」っていう特集の時に載せていただきました。「私の絵はそう見えるのか!」と思って、ちょっと嬉しかったですよ。

ガロ系?新宅さん作の漫画生原稿を大公開!

いつ頃から絵を描いているんですか?

大学生までは、漫画やペン画を中心に描いていました。今のスタイルになったのは2012年頃からです。

大学4年の時、漫画家になりたいと思ったんですよ。女の子が出てくる漫画だから、少女向けの少女漫画だと思って描いていました

でも、出版社の人にホラーと分類されたんです。「これはストーリーじゃない」って言われて。

 

上の写真は、当時出版直前までいった生原稿。1話分読ませていただいたんですが、かなり面白い!明らかに少女漫画とは一線を画す物語ですね。

ちなみに筆者の夫は娘に「臭いとか言われたら生きていけない」そうです。

「今読み返すと、そんなに悪くないですよね?」という新宅さんの言葉に、思いっきりうなずきました。この記事を読んでいる出版社の方!まだまだ漫画原稿ありますよ!!

 

漫画家デビューはしなかったんですか?

漫画は丸尾末広などの影響を受けすぎたところがあって、途中で行き詰りました。だから出版はしていません。
でも、漫画はまた描きたいと思っています。

 

上の写真は「高校生の時に描いた絵&その当時の新宅さん」の写った写真を持つ現在30歳の新宅さん(2017年8月)。

15年前の高校生当時と変わってない……!!!

高校時代に受けた「ルネサンス」の衝撃

漫画をやめてから、また高校生の時に好きだった「ルネサンス」に戻って、今に至るという感じです。

ルネサンス
14~16世紀,ヨーロッパ全域に興った革新的な美術。 古代文化における人間性の復活,自然の再発見,個性の解放を特徴とした。 (中略) 16世紀にはローマ,ミラノ,ベネチアなどでミケランジェロ,ラファエロ,レオナルド・ダ・ビンチ,ジョルジョーネ,ティツィアーノらの巨匠が出て盛期ルネサンスの絵画様式を完成。

ルネサンス美術(ルネサンスびじゅつ)とは – コトバンク

新宅さんが「ルネサンス」の影響を受けたきっかけは何でしょうか?

高校生の時、イタリアルネサンス絵画で有名な美術館「ウフィツィ美術館」の画集を観て衝撃を受けました。そしてルネサンスにハマってしまったんです。

 

高校を卒業後、美術の大学院を卒業し、その後は……?

フェイスペイントの会社でフェイスペインターとして働いたり、横浜アリーナでフランクフルトを売ったり、横浜の中学校で美術の先生をしたりしました。

2016年の3月に中学校を辞め、別府に移住したんです。

新宅さんが学校にいたら、生徒と間違われそうで心配ですね。

愛犬ジュリアとの生活が楽しい別府

なぜ実家の別府に戻ってきたのでしょうか?

本当は、沖縄の地域協力隊などに行きたかったんですが、叶わなかったんです。

別府に来たのも衝動的に引っ越ししたり環境を変えたくなったりするので、とりあえず実家に帰ろう!みたいな勢いで。

元々の実家は大分市なんですけど、今は両親が別府なのでそこに住んでいます。

 

別府で画家活動するっていうのはどうですか?

家に犬がいることがとにかく良かったです。いつも1時間くらい散歩しています。

 

↑こちらは、愛犬ジュリアをイメージして描かれた絵。

 

別府、あまり創作活動とは関係ない感じですね……。

あ、でも前は実家が大分市にあって。あっちではチェーン店が多かったけど、別府はオリジナルのお店がいっぱいで個性的で楽しいですよ。

駅市場とか、店員のおばちゃんがお客さんに「お願~い!」とか言ってて、おもしろいなーって。

 

絵を描く以外、どんなことをして過ごしていますか?

普段は市役所の非常勤職員をしていて、毎日7時に起きて11時に寝る生活。すごく規則正しいんです。

休みの日は犬の散歩と、あとは家にいることが多いですね。お酒も飲まないので、あまり外食もしません。

 

でも毎日近所の温泉に行っていますよ。

まず体のどこから洗うんですか?

え?頭……ですかね。
え?え??なんですかこの質問???

まとめ

とっても可愛いらしい画家、新宅和音さん。たくさんお話していただきありがとうございました!

どこかドキリとさせられる絵と、本人のほんわかキャラのギャップ。絵の少女さながらの風貌とはかけ離れ、鬱々とした思春期。犬と戯れる無邪気な様子と、昔の漫画原稿から漂うダーク臭……。

なんだかちぐはぐなようで、全体でみるとしっくりくるような、とってもとっても不思議な女性でした。

東京を始め各地で個展を開催している新宅和音さん。これから少女の絵がどんな変貌を遂げていくのか、進化していくのか?みなさんもお見逃しなく!

新宅和音

11月1日~12月3日に開催される別府市挙げてのアートイベント「アートマンス2017」。11月後半から「別府市中央公会堂」にて「ゲンシシャ」主催のグループ展に出展します!

ぜひ生で、じっくり新宅さんの絵をご覧ください。

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この記事を書いた人
泥ぬマコ

べっぷる編集長。ビーベップ編集長。フリーランスのライター・編集。夫・娘・犬と一緒に別府へ移住してきました。PR記事や取材記事、キャッチコピーや企画・構成・編集も請け負っています。
ブログ→泥ろぐ http://doronumako.com