江戸時代から続く あの世体験型洞窟 「地獄極楽(桂昌寺跡)」

電気仕掛けで動かないし
派手な音も出ないし
ギラギラと点滅する照明もない

地獄と極楽を肌で感じるアドベンチャー施設「地獄極楽」。江戸時代に作られた冥土(メイド)体験テーマパークへGO!

 


洞窟内の地獄をうろつき、天から垂れさがる鎖をよじ登れば、そこには天国が広がっています。

駐車場にあるトイレで用を足してから出発しましょう!楽し過ぎて、思わぬ長丁場になる可能性、高いです。

 

湿気と冷気で臨場感あふれる「地獄窟」

まずはお賽銭箱に拝観料100円を入れ、記帳しましょう。

 

お堂の中で手を合わせ、心を落ち着けます。

では、いざ出発!

 

入り口からして、多少のホラー感やら冷気やらが漂ってくるようです。意を決して侵入しましょう。

 

まず現れるのは地獄の裁判所。閻魔王を中心に、いろんな人(?)たちがいますが……

 

人頭憧(じんずどう)」、怖すぎませんか。うっすら笑みを浮かべた生首、怖すぎませんか。どうですか。

洞窟の薄暗さとじめっとした湿気も相まって、地獄感が濃いんです。特濃。

 

鎮座する閻魔王様の前に置かれたビールケースの上には、カップ酒のお供えものがありました。

ちなみにお供えしてある「わかぼたん」は、いいちこで有名な三和酒類のお酒です。

 

洞窟内には手書きの順路表示があります。「先に地獄道へ」!いちいち教訓めいて見えるのは気のせいでしょうか。

 

洞窟には、鬼やら地獄の番人が潜んでいます。とはいえ、石像の顔は可愛いさもあり表情豊か。グッと握った手とか、傾げた首とか、なんだか愛おしい感じですね。

 

深く刻まれた皺と不気味な微笑みの「三途の川の奪衣婆」は、両手に小銭を掴んでいます。

“生まれ直し体験”ができる「胎内くぐり」

筆者の強力推しポイントは、なんといっても「胎内くぐり」。

縦横1m弱くらいの、小さくて先が見えない真っ暗な穴。そこを背中を丸め屈みながら進むのですが、全身土やホコリまみれになること必至です。

しゃがみすぎてお尻が着くと、下に溜まった水で濡れちゃうので要注意。このよちよち歩きが結構な苦行、変な筋肉使います。

そして、前後左右がよくわからなくなる程の暗黒

 

時間と空間の感覚があやふやになりながら、じりじり進んでいきましょう。しばらくして、外界から漏れてくる光の神々しさったら、もう!!!!

完全に、“生まれ直し体験”ができます。マジです。

娘&夫は怖がって入ろうともしませんでしたが、必ず出口にたどり着けるので、ぜひぜひ挑戦してみてください!

竪穴「張りの耳」に垂れる鎖をよじのぼり「極楽世界」へ

胎内くぐりを通らずに行くと、地獄窟から抜けて如来や菩薩がいる極楽窟へと進みます。

胎内くぐりをすると、極楽窟へワープできるという仕組みです。

 

極楽窟の最後には、如来がお出迎え。

 

地獄極楽は、室町中期にできたお寺。江戸時代には荒廃し、誰もいなくなりました。そこへ午道法印(ギジュン)という僧が1820(文政3)年頃、大衆教導の場として現在の形を作ったのです。すべてはノミで彫って造られています

 

この洞窟全部をノミだけで彫るとか……その執念に極楽だか地獄だか末恐ろしいものを感じますね。

 

そして、地獄極楽の王道お楽しみポイントといえば、極楽へ続く5mの竪穴です。

 


まさに穴!

垂直に彫られた穴を下から見上げるって、なかなかない経験。井戸の底に落ちたような気分です。写真では明るく見えますが、ほぼ真っ暗。穴からの光しかみせません。

 

蜘蛛の糸を彷彿とさせる1本の鎖をよじ登れば、眩いばかりの極楽世界へ辿り着けます!

竪穴を上るポイントは、以下の通り。

・穴に背中と足を押し付ける感じで、突っ張りながらのぼる
・滑り止めの付いた手袋を装着する
・登山靴など丈夫で滑らない靴を履く

 

穴の上から下を覗くと、こんな感じ。真っ暗でコワイーーーーー!

命綱もトランポリンもありません。落ちたらケガ、下手したら本当にあの世逝きですのでご注意ください。

それにしても大分、鎖率高いんじゃないかしら(白鹿権現にもあったよな)……。

めっちゃハードなアドベンチャーのわりに、自己責任でよろしく!っていう突き放し具合にシビれます。

 

ようやく辿り着いた極楽世界には、如来や菩薩などたくさんの石像が並んでいます。見渡す限りの田園風景、見晴らしもよくて気持ちいい!ぜひあなたの目と肌でこの爽快感を味わってみてくださいね。

 

鎖を登る自信がない方は、階段を使いましょう。階段を使っても意外と足場が悪くアクロバティックなので、十分注意してください。

まとめ

地獄と極楽を同時に体感できる、江戸時代から続くテーマパーク。鎖を登って天国へ行く「針の耳穴」が有名ですが、ぜひぜひ、ぜひぜひ、なんとしてでも「胎内くぐり」を体験してください!!!!

本当に出口はあるのか……、このまま進んで大丈夫なのか……、生きて帰れるのか……?でも、すべてを石で囲まれている安心感……?いろんな思いが渦巻いて、しばし現実を忘れる不思議な時間を過ごせます。

実は筆者、最初は怖くてスマホの明かりをつけてたんですが、途中で消しました。真っ暗闇の怖さと心地よさ、これはなかなか味わえません!

地獄極楽の情報

参考:桂昌寺跡・地獄極楽│宇佐市ホームページ 

住所大分県宇佐市安心院町東恵良
拝観料100円
駐車場あり・無料

この記事を書いた人
泥ぬマコ

べっぷる編集長。ビーベップ編集長。フリーランスのライター・編集。夫・娘・犬と一緒に別府へ移住してきました。PR記事や取材記事、キャッチコピーや企画・構成・編集も請け負っています。
ブログ→泥ろぐ http://doronumako.com